紅陽華 様投稿作品


「それじゃあね」
「ああ、じゃあな」
「とばりちゃん、ばいばーいっ♪」
あたしはペットショップの手伝いを終えて、潤とひなたと途中まで一緒に帰っていた。
そして、この後向かうのは、今お世話になっている教会。そことの分かれ道で二人と別々の道を行く。
このまま、いつもどおりに教会に戻るだけ―――だと思っていた。
――――あの人に出会うまでは。
「ん? 誰かしら……」
あたしは、道の前に誰かがいるのを見つけた。その誰かは、ゆっくりとこちらに近づいて来る。
そして、その人の顔が街灯に照らされて――――。
「……ようやく、見つけた……」
「……っ! ご主人様っ!?」
その人は、あたしが愛する人――――あたしのご主人様だった。







アナタに贈る愛。アナタがくれた気持ち。





あたしは、非常に居心地の悪い心境でご主人様の部屋のベッドに座っていた。
ご主人様と再会した時、ご主人様に半ば無理矢理家まで連れて来られた。
ご主人様と久々に一緒に食事して、その時にこの家から出てからの事を全て話した。
潤やひなた達の事、彼らと海に行ったりお祭りに行った事。
そして、自分の今の仮住まいとも言える教会の神父さんと孤児達の事。
ご主人様は殆ど何も聞いたりせずに、時々「そうか……」と言うぐらいの反応しか見せなかった。
「………やっぱり、怒ってるのかなぁ……」
まぁ、怒ってなかったらそれはそれでで困るけど。
怒ってるって事は、あたしを心配してくれてる証拠なんだし。
でも……もし、それが原因でご主人様に嫌われちゃったら―――あたし………
「とばり………」
「あ……」
ご主人様が部屋に入ってきた。
「とばり、その……」
「ご主人様、ごめんなさい!」
私は深々と頭を下げて謝った。
「あたし、ご主人様の事、諦め切れなくて…それで、何でも一人で出来るように、一人前になれば認めてくれると思って………
だからっ、家を出て、一人で生きていけるようになる為に……だけどっ、勝手に家を出て行ったのはあたしが悪いんだし……
だから、ごめんなさいっ! もうっ、絶対にこんな事しませんからっ………!」
あたしは、自然に自分の目から涙が流れている事を理解した。
「だか、らっ……お願い――あたし、の事、嫌いにっ、ならないでっ………」
あたしが言えるのは、もうこれだけだった。
その時、不意に、ご主人様があたしに近づいて………
「………え?」
あたしを、抱き寄せてくれていた。
「……えっ、ご主人、様……?」
「―――謝るのは、僕の方だ」
「え?」
何で? 何でご主人様が謝らなきゃいけないの? 悪いのは、あたしの方じゃ……
「あの時の僕は……あまりに臆病で、卑怯な人間だった。人間と耳っ子が付き合うなんて、そんな事したら、僕はきっと
偏見の目で見られる―――。それが怖くて、僕は君の気持ちを踏み躙ってしまった……ごめん。本当にごめん…」
そして、ご主人様はこう言った。
「もう僕は恐れない――――。とばり、ずっと僕の傍にいてくれ。僕の、一番大切な人になってくれ………」
「…………はい」
考える事なんかなかった。
ご主人様も、いつの間にかあたしの事、恋人として見てくれていたんだ。ただ少し、勇気が足りなかっただけ。
「……いいのかい? こんな身勝手な僕で?」
「あたしの方こそ、ワガママ言ったり、ヤキモチ妬いたりで、大変ですよ?」
「構わないさ。とばりが傍にいてくれるだけで、僕は幸せだから………」
「あたしもです、ご主人様………」
あたし…バカよね。ご主人様の気持ちも解らずに、勝手な思い込みして、ご主人様を心配させて……
ホントに、バカよね………
「……愛しています、ご主人様……」
「僕も、君を愛しているよ。とばり………」
そして、二人は、甘い口付けを交わし、ベッドに身を任せるように倒れた――――。






あたしとご主人様はお互いに全裸になり、夜の愛の遊戯を始める。
「…んっ、はんっ……」
ご主人様の舌が、あたしの首筋を下から上へ、ゆっくりと這っていく。
更にご主人様のの指が、あたしの乳首をこね回し、ビクッと反応してしまう。
「あぅっ……ふっ……ひゃっ…んっ」
「……とばり、思ってたより敏感なんだね……」
「だって、ご主人様が上手過ぎるんですよ………ひゃうっ」
ご主人様の舌にも、指にも、あたしは過敏に反応してしまう。
そして、ご主人様の左手が、あたしの大切な部分に………
「ひゃうんっ!」
さっきより大きな声を上げてしまった。
「えっ、ちょっと触っただけなんだけど………」
「ごっ、ごめんな、さいっ……ご主人様の指、とっても感じるから……もっと…して、ください……」
うわぁ、自分からご主人様におねだりしちゃった。……あたしってこんなキャラだったけ?
「じゃあ、いくよ………」
ご主人様が耳元でそう囁いて、あたしの中に指を少しずつ入れてくる。
「ひあっ、あぅ……んんっ……」
「我慢しなくていいよ……とばりの声、聞かせて」
ご主人様の指が、一層深く、あたしの中に入ってきた。更に、それが出し入れを繰り返す。
「ひゃぁっ、あんっ、ふぁぁぁ!」
あたしは堪らずに、声を上げた。指の動きは止まらず、更に親指が、あたしの紅く小さな芯を弄る。
「やあっ、ああっ! ご、ご主人様ぁ……!」
ご主人様の愛撫は止まらず、あたしの中の快感が徐々に高まっていく。
「ひあっ、だっ、だめっ、ご主人様っ、あ、あたしぃっ、いっ―――あぁぁぁぁぁぁっ!!!」
あたしは、ご主人様の指だけで絶頂を迎えてしまった。
ホント、あたしの予想以上にご主人様って、上手…………
「もう、イッちゃったのかい?」
ご主人様が、優しい声色で聞いてくる。
「――――ダメです」
「えっ?」
「あたしだけ気持ちよくなるなんてダメです。今度は、あたしがご主人様に、し・て・あ・げ・る♪」
あたしは、そう言ってご主人様の股間に顔を埋め、ご主人様のを手に取ると、
「ジッとしてて下さいね。………ちゅるっ、ちゅ……」
「うっく……と、ばり……」
「ちゅうっ…んくっ、ふむぅ……」
舌でご主人様のを舐め回し、口の中へと入れる。ご主人様の手があたしの頭の上に乗り、優しく撫でてくれる。
「ちゅむ……ふっ、んっ……ぢゅうううううう」
「うっ……とばりっ…!」
ご主人様はあたしの口の中で射精した。あたしはご主人様の精液を残らず口に含むと……
「んっ、んっ……んくっ。―――ふぅ。たくさん出ましたね」
飲み込んだ。
「…えっ……ちょっと、とばり! 今の飲んだのかい!?」
「はい。だって大好きなご主人様のですから」
「い、いや、だからって……不味いだろう?」
「そんな事ありませんよ」
そりゃまぁ、確かにニオイも味も変だけど………流石に好きな人の前で不味いとか言うのは失礼極まりないって思うから。




「それじゃあ……入りますよ」
初めての挿入。で、体位はというと……何故か騎乗位。コレはご主人様の希望なんだけど……
いやっ、あたしは断ったわよ。「ご主人様の上に乗るなんて、そんな偉そうな真似は出来ません!」って。
まぁ、でもやっぱり、ご主人様には逆らえない………
というか、あたしの場合は好きになった人に逆らえないってとこかな?
「……うっ、くぅ……」
「無理にしなくても、ゆっくりでいいよ」
「だっ、大丈夫ですっ………」
徐々にあたしの中に、ご主人様のが埋まっていき――――。
「んっ………あうあぁぁっ!」
破瓜した時の激痛に、あたしは叫び声に近い声を上げた。
「だっ、大丈夫かい?」
「だ、大丈夫、ですっ…心配っ、ありませんから……」
実のところ、凄く痛い。いやホントに。
でも、何だか、嬉しい。あたしは今、ご主人様と一つになってる。この痛みが、それを実感させてくれる。
あたしの中のご主人様は、熱を持ちながら、あたしの中を満たしていた。
「あのっ……あたしが、動きましょうか?」
「ああ、いいよ。そうしてくれ」
じゃあ、とりあえず最初はゆっくりと………
「はぁんっ……くぅっ、あぅん………」
破瓜の痛みが、徐々に快感へと変わっていく。あたしは、腰の動きを徐々に速める。
「とばり、あんまり無理しない方が……」
「はぅっ、大丈夫…気持ち、いいです……だからっ、そんな不安そうな顔をしないで……」
あたしは、ご主人様の頬に優しく触り、
「ご主人様も、一緒に気持ちよくなりましょう…………」
ぎゅっと、締め付けを強くして動く。
「はんっ、ふぁっ、ひにゃぁぁっ!! ――ごしゅっ、ご主人様っ、もっと、もっと気持ちよくなってぇっ!」
もう痛みは感じなかった。一心不乱に動く。
「うわっ……とばりっ、もうっ……」
「はぅんっ! ……あたしもっ……あんっ…ご主人様、一緒にっ………!」
そして――――。
「はぁっ、あぁぁぁぁぁぁっ!!」
あたしとご主人様は一緒に絶頂を迎え、あたしの中にご主人様の精液がたっぷりと注ぎ込まれた。
「あぁ……ご主人様の熱いのが、あたしの、中に……」
あたしは、熱い愛と幸せを体から感じ、ゆっくりと体をご主人様の上に倒れる。
「有難う、ご主人様―――」
「―――お礼を言うのは、僕の方だよ………」







翌朝。
「………んっ…」
あたしは、ゆっくりと目を覚ます。外では、小鳥の囀りが聞こえた。
まるで何かのドラマか漫画でよくあるパターンのように、あたしも、そして隣のご主人様も裸のまま。
さてと、コレから着替えて朝食を食べ終わったら、みんなに色々と説明しなきゃしけないわね。
「……ん……」
どうやら、隣のご主人様も起きたようだ。
「おはようございます、ご主人様」
あたしは、ご主人様に朝の挨拶を言う。
「………おはよう、とばり」





























後書き。
今回の作品は、ひなたルート(主従)END後のIf storyになります。
『もしもひなたルートでとばりがご主人様と思わぬ再会をしていたら?』というお話です。
ちなみにご主人様の気持ちは自分の妄想ですが、きっと、とばりのご主人様もとばりを恋人に見えていた(もしくは見えかけていた)
と思うんですよ。で、ご主人様の告白でとばり勘違い発覚(笑
まぁ、でもアレです。とばりルートで潤に乗り換えて正式に恋仲になるのもまた一つの幸せでしょうが、やっぱりとばりはご主人様との恋を
成就させてみたかったので、このSSを書く事にしました。
「下手したら死ぬまで、その人の事を思い続けるんだから!!」と名言まで言ってるのですから、ここは一つ叶えてやりたいな、と。

ちなみに、とばりが何となくデレデレに見えるのは、やっぱりとばりは好きな人には弱いからだと思います、はい。
後、Hシーンの短さは勘弁してください。書いてる方もメチャクチャ恥ずかしい上に、結構長くするの難しい&疲れるので………
では、またいつか会いましょう〜♪





























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