紅陽華 様投稿作品



「ご主人様、どこ?」
犬耳っ子の少年はひたすら自分の飼い主と、その家族を探した。
「何処に行っちゃったの?」
探せど探せど、彼のご主人様も、その家族も見つからない。
「何処なの……どこ行っちゃったの?」
少年は泣き出して、それでもまだ飼い主達を探す。
それは認めたくなかったからだ。だって、認めると怖いから。
「ねぇ、ボクを捨てないでよ…………」
自分が、飼い主に捨てられたなんて事を…………





再スタート





夜九時頃。
公園のベンチに、一人の耳っ子の少年が座っていた。
銀色の髪に耳にシッポ。耳はへた〜っとなっておらず、ピンと立っていた。
シッポは可愛くカールしている。
彼の視線の先は夜空。星と、半月が輝いて見える。
「………」
彼は黙って夜空を見る。空を見ていれば、何だか気持ちが和らいで、全てを忘れる
事が出来る。
そう、嫌な事や、悲しい事だって―――――。
少年の顔が、少し曇る。
彼は思い出していた。自分が捨てられた時の事を。
「…やっべ、何今更"あの時"の事を思い出してんだ、オレは………」
思い出したって、悲しいだけなのにと、少年は心の中で言った。

彼があの家族に迎えられたのは、人間で言う八歳くらいの時だった。
みんな良い人で、自分の事を可愛がってくれていた。
だが、彼が十二歳になった時、彼が外出していた間に、家族は何処かへ行ってしまった。
家の中は、完全にもぬけの殻だった。
彼が自分は家族から捨てられたと悟ったのは、家族を探して暫くした後だった。
何故自分が捨てられたのか、今となっては分からない。
いや――分かりたくもない。
理由が分かったところで、今の自分の境遇が変わる訳でもないから――――。

「……あ」
下を見ると、一匹の仔犬が、彼の足元でシッポを振っていた。
まだ小さいが、どうやら野良だ。
「よしよし……お前も独りで寂しいんだな」
彼は仔犬の頭を撫で、持ち上げて立ち上がろうとしたが、
「うっ………」
少しよろめいた。そういえば、最近何も食べてない上に、体もだるいんだった……
(やべ………何故か、意識が…遠…………)
そこで彼の意識は無くなった。


「…ん……」
目を覚ますと、何故か彼はベッドの中にいた。起き上がり、周りを見る。
結構、豪華な部屋だった。いつの間にここに? ってか、夢……?
隣を見ると、自分と同じ犬耳っ子がイスに座ったまま眠っていた。
見かけは自分と同じくらいの年齢の少女。髪と耳とシッポは茶色で、
耳はトンガリ形ではなく、縦にへにゃ〜っと垂れてる形だった。
首には白い首輪、更にメガネを掛けている。
(耳っ子でメガネ掛けてるなんて珍しいな……)
と思いいつつ、彼は少女を起こす。
「ふにゃ……あ、目が覚めたんだね、おはよう」
「ああ…おはよう」
二人で朝の挨拶を交わした後、
「私の名前はちひろ。アナタは?」
「……セイヤ」
お互いに名前を教え合い、暫くしてセイヤと名乗った少年が、
「あ……なぁ、ちひろ。仔犬知らないか? オレ、そいつを腕に抱えてたハズだけど……」
「ああ、あの子なら…………」
ちひろと名乗った少女は、しゃがんで、再び立ち上がった時には、手に仔犬を抱えていた。
「良かった………お前も無事だったんだな」
「ワン!」
仔犬は嬉しそうに吠えて答える。
「ところで、ちひろのご主人様は………」
セイヤがそう言いかけた時、
「おはよう、ちひろ」
「あっ、おはようございます、ご主人様」
部屋に、一人の女性が入ってきた。彼女がちひろのご主人様のようだ。
歳は二十代半ばで、黒い髪の美しい女性だった。
「あら、アナタも起きたようね。ちひろが連れて帰ってきた時は、ビックリしたわ」
「はぁ………どうも。セイヤって言います」
「そう。私は薫。倉田薫よ」
薫と名乗った女性は、そのまま続ける。
「暫くはこの家でゆっくりしていて。もし一緒に暮らしたいと思ったら、歓迎するわ」
「はい…………」
「じゃ、早速私、朝食作ります!」
「そう、じゃ、私も手伝うわ」
そう言って薫とちひろは、部屋から出て行った。


朝食を食べ終え、時間は午前八時四十五分。
「それじゃ、行って来ます」
「いってらっしゃ〜い、ご主人様〜♪」
ちひろは仕事に出掛ける薫を見送り、再び家の中に入る。
「さってと……お掃除しなくちゃ」
薫が居ない間は、ちひろが家の仕事などを行う。とは言っても、この広い豪邸を一人で
掃除するのは疲れる。
そんな時、セイヤが、
「掃除、するんだろ? オレ手伝うよ」
「えっ、いいよ別に」
「いや、やらせてくれ。ただ居候するだけじゃ、居心地悪いからな」
と、いう訳で、二人で手分けして掃除をする事にした。ちひろはセイヤに、
「気をつけて掃除してよ。ここの飾り物とかは、すっごく高い物ばかりなんだから」
と、強く念を押した。

「ふぅ………」
今のいままで、自分と仔犬が寝ていた部屋を掃除するセイヤ。
「金持ちなら、メイドさんの一人や二人雇えばいいのに……」
と愚痴をこぼしながらも、彼は次の部屋へと向かった。

「お疲れ〜、流石に二人だと早く終わるね」
ちひろとセイヤの二人は、掃除を終えてリビングにいた。
「なぁ、この家に住んでるのって、ちひろと薫さんだけなのか?」
「ん? そうよ。ご主人様が十三歳の頃にお母様を亡くして、去年にはお父様も
亡くなって………それで、ご主人様はお父様の社長の地位を継いで、会社を切り盛りしてるの。
社員からの信頼も厚いのよ」
「なるほど、それでこんなセレブなお屋敷にね………」
セイヤが納得した後、
「ねぇ、セイヤ君って………もしかして捨て犬耳っ子?」
ちひろが突如そんな事を聞いてきた。
「………ああ、そうだよ」
「その割には、ご主人様の事、酷く言わなかったね?」
「オレは逆恨みっていうのが大っ嫌いなんだ。あの人罵倒したって、
意味が無いって事ぐらい分かる」
セイヤは淡々と答えた。
「で、次の仕事は?」
「う〜ん……お買い物に付き添ってくれる?」
「ああ、構わないぜ。でも……コイツはどうする?」
セイヤはソファーで今は大人しくしている仔犬を指差して言った。
「家の中、メチャクチャにされたらヤバイだろ?」
「そうね……でも外は寒いし………あっ、そうだ!」
ちひろは走って何処かへ行き、戻って来た時には、手に大きなケージを持っていた。
「この中に入れておきましょ。コレは、死んだご主人様の愛犬のケージなの」
「よし、決まりだな」
二人は仔犬をケージの中に入れて、しっかりと鍵を掛けた。
家も同様に鍵を掛け、買い物へと向かった。


「いや〜、やっぱりお買い物に付き添いがいると助かる〜」
「しっかし、まさか普通のデパートで買い物とはな……」
「そりゃ、流石に食べ物とかはそういう所で買うわよ。そういう所に売ってる物は、ね♪」
買い物を済ませた二人が家へ帰る途中、
「……げ」
「……あちゃ」
目の前に、明らかにチンピラと分かる人間が三人いた。
「ぐぇっへへへへ………」
下品な笑みを浮かべて、こちらに近寄るチンピラ三人組。
「…ちひろ、コレ持ってろ」
「えっ、ちょっと、相手は三人よ?」
ちひろに買い物袋を手渡し、チンピラと対峙するセイヤ。
チンピラの一人が、何の警告も無しにセイヤに殴りかかる。
「―――おらっ!」
セイヤはその一撃を難なくかわし、逆に相手の腹に一発喰らわせる。
チンピラの一人が倒れ、怒った残り二人が突っ込んできたが、その二人も呆気なく
セイヤの一撃を喰らい、地面に倒れ伏せた。
「逃げるぞ!」
「えっ……あっ、う、うんっ!」
二人は倒れているチンピラ三人組をその場に置き去りにして走って家へと向かった。


家に帰り着き、二人はソファーに腰掛ける。セイヤの膝の上には、仔犬。セイヤに
頭を撫でられて嬉しそうな表情をしている。
「ああ、怖かったぁ………アイツら何なの?」
「オレが野良になってから、アイツらに目をつけられてな……見つかる度にケンカし掛けられたんだ
まさか、鉢合わせするとはな………」
「そっか、結構大変な生活送ってたのね……」
「まぁな……でも、今は逃げ帰る家があるから安心だよ」
セイヤは仔犬を持ち上げ、高い高いさせながら言った。そして、ある事に気が付き、
「あ………そういやコイツの名前決めてなかったな」
「そうね…名前が無いのもかわいそう。ちょっと貸して」
ちひろはセイヤから仔犬を渡してもらい、
「う〜ん………この子はメスみたいだから、『ジュリア』とかどうかな?」
「ジュリア……まぁ、別にいいんじゃね?」
「どう? ジュリアって名前でいい?」
仔犬はシッポを振りながら、ワンッ! と答えた。


午後八時。
薫が帰宅してきて、ちひろは玄関で出迎えた。
ダイニングキッチンでは、セイヤが作った料理を並べていた。今日はセイヤが夕食を
作るのを手伝ってくれたとちひろが言った。
それぞれ自分の席に座って、豪華な夕食が始まる。
「あ、それ、オレが作ったんですけど……どうですか?」
薫は、セイヤが作ったというステーキをナイフで切って口に運ぶ。
「…うん、おいしいわ。セイヤ君って、料理得意じゃない」
薫に褒められ、セイヤは照れながら礼を言った。
ちひろが、足元で同じく食事中だったジュリアを持ち上げ、
「あっ、それとご主人様、この子の名前、ジュリアって名前にしたんです。私が
名付けですよ」
「あら、可愛いくていい名前じゃない」
そうやって楽しそうに笑い合う二人を、セイヤはまるで何かを懐かしむような顔で見ていた。


「今日はありがと、食器洗いも手伝ってくれて」
「別に構わないって」
就寝時間になって、三人は寝室へ向かう。
「ねぇ、セイヤ君――――、私達と一緒に、暮らさない?」
突然、薫はそんな事を言い出した。
セイヤは暫く黙り込んだ後、答えた。
「…いや、やっぱりやめときます。明日には、この家から出て行きます」
「えぇ〜! 何で? また野良に逆戻りじゃん、それじゃあ」
「そんな事言われても……ほら、オレの所為でお前が今日のチンピラに襲われたりしたら
大変だろ?」
自分でも上手く言い表せない断る理由に、情けなさも感じるセイヤ。
「――――怖いのね?」
呟くように言ったのは、薫だった。
「……ご主人様?」
「アナタは恐れているんでしょう。また捨てられるんじゃないかって。また孤独に
戻るんじゃないかって。だから表ではそんな素振りを見せないけど、アナタは心の中で
私を疑っている。例え飼われても、私が、いつかアナタを捨てるんじゃないかって。いつか自分を
また一人にするんじゃないかって―――」
「違うっ!!!」
言葉で責める薫に、強く否定するセイヤ。
「違う……オレはアンタを疑ってなんか………!」
「…………」
そのまま黙り込んでしまう三人。
セイヤはそのまま、自分に割り当てられた部屋へと行ってしまった。
その後、二人は自分達の寝室に入り、
「ご主人様………少し言い過ぎたんじゃありませんか?」
薫は、
「……これで良かったのよ」
「何がですか?」
薫はちひろの質問に答えず、彼女の頭を優しく撫でて、二人のベッドに潜り込み、
二人で眠りについた。


翌朝。
それは昨日と変わらない、穏やかな朝だった。
ちひろが何よりビックリしたのは、昨夜あんな事があったのに、笑顔で会話したり朝食を
食べたりする薫とセイヤだった。
そして―――。
「ホント、昨日は一日お世話になりました」
「いえ、こちらこそ、家のお手伝いをありがとう」
「ちひろ――、ジュリアの事、頼むな」
「うん……」
別れの時が近づき、泣きそうな、潤んだ目で頷くちひろ。
「何だよ泣くなよー、別にもう二度と会えなくなる訳でもないだろ?」
「う、うんっ」
「それじゃ、本当に、お世話になりました」
二人に背を向けて、セイヤは歩き出した。と、そこで一旦立ち止まって、
「あっ、そうだ。薫さん」
「―――何かしら?」
「ハッキリ言ってませんでしたね、オレがこの家の家族になるのを拒んだ理由。
一応、思い当たる事はあるんですけど………」
セイヤは少し間を置き、そして言った。
「オレは――――、本当に、心の底から信頼できるご主人様を、探そうと思います。本当に
オレを必要としてくれる人に、オレは飼われたい」
「…………」
「やっぱ、変ですかね? すいません、別れ際に変な事言っちゃって」
「いいえ、構わないわ」
「それじゃ――――、さよなら」
そして、セイヤは家の門から、出て、その姿は二度と見えなくなった。
「行ってらっしゃい……そして、きっと掴んでね、自分の力で、自分の幸せを――――」
そう………セイヤ君、アナタになら出来る。アナタは私とは違って、孤独に耐え、
立ち向かえる勇気があるから―――――――。


「チッ、またアイツら悪さしやがって………」
セイヤが進む道の前で、例のチンピラ三人組が猫耳っ子にちょっかいを出していた。
いや、ちょっかいというより、強引に連れて行こうとしていた。
「もうっ、離してよこのクズ人間!!」
「何だとこのネコっ!!!」
チンピラの一人が、猫耳っ子を叩こうとしたその時、
「!?」
叩こうとしたその右腕が、誰かに掴まれた。振り向くと、そこには毎回自分達を
痛めつけた犬耳っ子の顔。
「ぐへぇっ!!」
セイヤは手始めに、腕を掴んでいたチンピラを殴り倒した。
「てめえ! ここで会ったが百年目だ!」
もう一人のチンピラが、セイヤに襲い掛かる。
が、繰り出したパンチはあっさりかわされ、逆に蹴り飛ばされる。
「こんちくしょおぉぉぉぉぉ!!!」
「お前ら、ホント凝りねーなぁ……つーか、学習能力ゼロ?」
突っ込んできた最後の一人も楽々気絶させ、セイヤは猫耳っ子に近づく。
「ケガないか?」
「ええ、お陰様で………わたしの名前はとばり。良かったらお礼させてくれない?
アナタの名前は……って、ちょっと待ちなさいよ!」
全く気にせずにスタスタと去っていこうとするセイヤを、猫耳っ子は呼び止める。
「お礼なら結構。それとそいつらが起き上がらない内にさっさとこの場を去りな。警察がいる
なら自分で呼んでくれ。じゃっ」
と言った後、セイヤは歩いてその場を去っていった。
「もうっ、何なのよアイツ…………」
紫の髪に黒い猫耳とシッポを持ち、首には鈴を付けた猫耳っ子はそう呟いた。


「今日はここで寝るか……」
セイヤは、とある公園に着いた。
空を見上げると、そこにはちょっぴり欠けた半月と、輝くガラスの
細かい欠片の様に散りばめられた星々。
やっぱ空を見てると、心が落ち着くなぁ………と自分の世界に入っていたセイヤに、
誰かが声を掛けた。
「………ねぇ」
「ん?」
セイヤは声のした方へ振り向く。そこには、蒼い髪に白衣を着た女性が立っていた。
女性はセイヤに、
「アナタ、野良の耳っ子なの?」
「そんなの、一目瞭然でしょ」
「そう―――、ねぇ、良かったら家に来ない?」
「え?」


セイヤは、公園で会った女性――名前は、金沢美奈とか言ったか――に連れられ、
彼女の自宅に上がらせてもらった。
ここに来るまでに聞かされた話によると、彼女は動物と耳っ子の医師で、両親とは別居、
今は保健所から引き取った犬耳っ子と、大学生の妹と彼女が飼ってる猫耳っ子と
暮らしているそうだ。
「ただいま」
「おかえりなさーい、ご主人様〜!!」
ドアを開けるなり、いきなり一人の犬耳っ子が美奈に抱きついて出迎えてくれた。
ゴールデン・レトリーバーのような金色の耳とシッポ。
彼が保健所から引き取ったという子だろう。
「ただいま、ケンタ」
ケンタの頭を撫でる美奈。ケンタと呼ばれた犬耳っ子は、後ろにいたセイヤに気付き、
「ご主人様、この人は?」
「ああ、彼は今日から新しい家族になるセイヤ君よ」
「わぁっ、ホントー!? よろしくねっ、セイヤ兄ちゃん♪」
「あ、ああ……」
もう飼う事が決まってたのか―――そう驚きつつ、家にお邪魔させてもらう。
「あ、お帰りなさい、美奈さん」
「お姉ちゃんおっ帰りー。カレー出来てるよ」
「そう、後もう一人分あるかしら?」
「えっ?」
台所にいた女性は、姉の後ろにいる犬耳っ子を見て納得した。
その後自分の名前は有紀といい、隣にいるのが自分が飼ってる猫耳っ子のシュウだと教えてくれた。
「ま、座って座って! このカレー、私とシュウが作ったんだ。自信作なの」
「じゃ――、いただきます」
早速、有紀とシュウが作ったというカレーを食べる事に。その味は……
「……どう?」
「……うん、おいしい」
「やった! おいしいだってさ、シュウ!」
「はい! とっても嬉しいです!」
「良かったねー、シュウ、有紀おねーさん」
随分と賑やかな家族だな………セイヤはそう思った。


「あら、セイヤ君まだ寝ないの?」
「いや、そろそろ寝ようかと―――そういう美奈さんは?」
「私は仕事があるから……」
深夜。今起きているのは、ベランダで星を眺めていたセイヤと、カルテの整理等の仕事を
している美奈だけだ。
セイヤは、ふと思い出したように、
「あの………何で、オレをすぐに飼う事にしたんですか?」
「…………」
セイヤの問いに、美奈は暫く無言のままだったが、
「…ほっとけなかったの」
呟くようにそう答えた。
「え?」
「私ね、昔保健所を見学するように勧められて行ってみたの。ケンタと出会ったのもそこだった………
酷かったわ。捨てられた犬や猫、耳っ子……信じていた飼い主に捨てられて、殺される日を待つだけの
絶望の日々………自分が人間であることが恥ずかしいと思ったわ」
「…………」
「アナタも、捨てられて野良になったんでしょ?」
「………ええ」
「捨てた側の人間が絶対悪いのに、捨てられた、何の抵抗も出来ない、何の罪も無い動物達の方が
殺される………そんなの、あまりにも酷すぎる。かわいそうすぎる……」
「オレも、そういう運命を辿るんじゃないかって……だから、拾って飼う事に?」
「……ええ、アナタが人間を恨んでいるのなら、余計なお世話だったかしら?」
「そんな事、無いですよ」
セイヤは答えた。
「オレ、嬉しいです。そんなにオレの事心配してくれるなんて――――優しいんですね、
美奈さんって」
そして、こう続ける。
「あの、医療の事とか、あんま知りませんけど……もし手伝える事があったら、手伝わせてください」





そして今、セイヤは美奈達と楽しく生活している。
耳っ子が飼い主を支え、飼い主は耳っ子に精一杯の愛情を注ぐ―――。
それがお互いの関係の理想だと、セイヤも、美奈も思っている。
「セイヤくーん、悪いけどお買い物行ってくれない? シャンプー切れちゃってるから、
詰め替え買ってきてほしいんだけど」
「わかりました、で、種類は?」
「あー、Soft in 1ってやつなんだけど、分かる」
「分かりました、じゃっ、行って来ます」
セイヤは財布を取り、買い物へと出掛けた。

「ご主人様、洗剤が無くなっちゃったんで、買ってきます」
「そう、外は寒いから、しっかり防寒対策して行きなさいね」
「はーい。じゃあジュリア、行ってくるね」
「ワンワン!」



一度きりの、自分の人生――――――

「あ、あったあった」

例え絶望に陥ったとしても、いつかどこかでまた希望を見つけられる。

「え〜と、洗剤洗剤………」

だから諦めないで。

「「あ……」」

今の不幸は、自分が再スタートする為の準備期間だと思えばいい――――。

「また――、会えたな」
「うん!」









後書き
………………
正直、書いた自分が見ても微妙です。何か変です。ツッコミどころ満載です。
でもとりあえずこれでオリキャラ三部作書き切れたからいっか!(よくねーだろ)
以上、コレを書くのに時間かかってクリスマスのSS書けなかった紅陽華でした!

今日の後書き、メッチャ短いな…………


PS:とりあえず、お正月SSは書けそうです。季節過ぎそうですが(泣笑




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