M 様投稿作品






二月初頭の昼下がり。

ペットショップFRIENDSの奥の倉庫。

店頭に陳列されていた犬用の缶詰が切れていたことに気づいたとばりは、在庫を取りに来ていた。

乱雑に段ボール箱が押し込まれたいくつもの棚の隙間を縫うように、とばりは目的の品物を探す。

もうちょっとわかりやすく整理したらいいのにと前から思っているが、

店事態がなかなか忙しいのでこちらまで手が回らないということも理解できる。

仕方ないので、新たな在庫が配達されるたびに置き場所が変わる品物を、逐一探し回ってから取り出すという現状に甘んじていた。

足の早いものではないが、賞味期限の存在するペットフードの類は先入れ先出しがしづらくなってしまっているのだが、

普段は管理にうるさいとばりも、今日だけは妙にぼんやりとした表情で段ボール箱の群れを目で追っていた。

とばりの頭の中は、仕事を押しのけて、別のことが支配していた。

それは、今年のバレンタインは何をしようかということ。

毎年訪れる恒例行事だからこそ、変化をつけて印象付けたい。

何より、大好きなご主人様が驚き、喜ぶ顔が見たい。

しかし、何日も前から考えてはいるものの、今のところ何も思いつけないでいた。

普通のチョコレートを贈るなどもってのほかなのは言わずもがな、

今やチョコケーキも驚かれるほどのことでもない。

ならばと完全版手作りチョコレートを作ってみたこともあるが、同じことを繰り返してもつまらない。

かといって、脳内の全データを検索し直してみても、何も浮かび上がっては来ない。

同じ思考がぐるぐると脳内を巡るのも何度目か、とばりは薄暗い倉庫内で、ひとりため息をつく。

晴れない頭で、今が仕事の途中であることに気づくと、何時の間にか止まっていた足を再び動かし始める。

面白いことは思いつけねども、目的の品は程なくして見つかった。

店頭に置ける分だけを両手で抱え、身を翻そうとし、

ふと、視界の隅を見慣れぬものが掠めたことに気づいた。

そちらに目を向けてみれば、『試供品』と書かれた段ボール箱が通路の奥の床に鎮座していた。

新しい商品でも増やすのかしらと近寄り、両腕に抱えていたものを横に置いて、段ボール箱を開ける。

中に入っていたものはを見た瞬間、とばりに天啓がひらめいた。

「これだわ!」

思わず叫び、中のものをひとつ取り出しながら、自分の表情が笑みを形作ることを感じた。

しかしそれを止めることは出来ない。むしろそのまま静かに笑い声を漏らし始める。

(今年もびっくりさせてあげるわ。ご主人様)

とばりの瞳が妖しく燃え上がった。










 Sweet×3 Valentine










バレンタインデー当日。

時事ネタには大抵乗っかる店長の思惑通り、喫茶店FRIENDSのバレンタインフェアは大盛況。

こんなに売り切れるのかと問いたくなるほどに用意されていた限定チョコデザートも、

平日だというのに夕方には品切れが続出。

急遽用意された緊急企画、既存デザートに看板娘がチョコソーストッピングサービスも、

ラストオーダーを迎える前にデザート全品品切れという事態にまで発展した。

「ありがとうございました!」

フロア担当全員で最後の客を見送り、嵐のようだった時間は終わりを告げる。

ようやく肩の荷が下りたとばかりに脱力するスタッフ一同に、店長である御堂拓也は素敵な笑顔で振り返った。

「みんな、お疲れさん」

しかし、御堂の笑顔の爽やかさに反し、みんなの顔には疲労が色濃く浮かんでいる。

「今日はほんとに大忙しやったからな。後片付けはやっとくから、みんな先に帰って休んでや。明日も普通の営業はあるから、出の人は早めに寝て、しっかり疲れを取っておくんやで」

店長のありがたいお言葉に、一同は気だるげに返事だけすると、のろのろとゾンビのように着替えへと向かう。

そんな中、

「さて、と……」

何気なく聞こえてきた声に、御堂は身をすくませた。

笑みはわずかに引きつり、省エネのために暖房をそこそこ程度にしか効かせていないにも関わらず、こめかみから汗が一滴、頬を伝う。

声の主はとばりだった。

いつものパターンならいつもの交渉が始まることになる。

顔つきはそのままに、心の中だけは緊張感で満たし、どの程度の要求を突きつけてくるのかと身構える。が、

「それじゃ、あたしたちもさっさと上がらせてもらうわね」

いつにない言葉を耳にし、御堂の目は点になった。

数秒の空白を置いてから、控え室へと向かおうとするとばりの背中にようやく言葉を返す。

「え? あ、ああ、お疲れさん」

言ってから、小さなため息と共に緊張を和らげる。

だが、とばりは立ち止まると、肩越しに振り返った。

「ギャラの話は明日ね。もらうものはきっちりもらうから、覚悟しといてね」

そのセリフは小悪魔的な笑みと相まって、御堂の逃げ場を失わせた。

わかる人にはわかるだろう。

御堂の心には今、バレンタインフェアの成功の喜びをそのままひっくり返したように、

二月の冷たい雨がさめざめと滴っていることが。

「あっと、それと……」

御堂の心情などどこ吹く風とばかりに、とばりは、今度は小悪魔的な笑みを楽しげに輝かせながら潤へと向けた。

しずしずと数歩近づき、媚びるような上目遣いで潤を見上げ、猫撫で声を出した。

「ご主人様、お願いがあるんだけど」

「ん? なんだ?」

「ちょっと準備したいことがあるから、もう少し経ってから帰ってきてくださらない?」

「準備?」

なんのだ?と続けたかったが、

「それは帰ってからの、お・た・の・し・み♪」

と先手を打たれては、それ以上聞きようがない。潤は素直に引き下がった。

「わかったよ」

潤の言葉にとばりは満足げに笑むと、

「じゃ、準備が出来たらメールするから。二人とも、行くわよ」

「は〜い」

「うん。それじゃあ御堂さん、お先に失礼します」

ひなたを美和を従え、とばりは控え室へと入っていった。

残された男子二人は半ばぽかんとしながら残業を始めた。

「あいつら、いったいなんだってんだろ?」

「お前へのチョコレートでも準備しとるんやろ。モテる男は辛いなぁ」

「お前だって結構人気あるみたいだぞ。お前へのチョコ持ってきた女性客もいたじゃないか」

「そういうお前にも来とるやろ。数字的にはどっこいくらいや」

「でも、お前に興味ある女の子もいるってことだから、彼女だって作れないこともないんじゃないか?」

「そやなぁ。俺も欲しい欲しいとは思っとるんやけど、仕事が忙しくてなかなかデートの暇も作れそうにないしなぁ」

「店長ってのも大変だな」

「ま、好きで就いた職やから、今はまず、この店をもっと繁盛させてからやな」

「下働きとしては、ほどほどにしてもらいたいけどな。こんなのが続いたら目が回りそうだ」

「嬉しい悲鳴ってやつやな」

「お前には、な」

そんなことを話しながら皿を洗い、フロアの掃除をすること小一時間、潤の携帯電話にメールの着信が来た。

内容は、

『準備が出来たから、寄り道せずに帰ってきてね。ご主人様♪』

潤は携帯をパチンと閉じると、

「御堂、悪いけど後は頼む」

「おう。じゃ、かわいこちゃんとごゆっくり〜♪」

潤は控え室で手早く着替えると、喫茶店を出た。

宵闇に満ちた外の空気は思いのほか冷たく、思わず肩をすくめてコートの襟を正す。

こんな寒さでは、わざわざ釘を刺されるまでもなく、寄り道などする気も起きない。

潤は足早にFRIENDSを後にした。










マンションに着き、階段を上りながら潤はふと思った。

(今年はどんなチョコなんだろ?)

こういった、相手に何かを贈る類のイベントとなると、普通ですんだ記憶がない。

いつも三人が協力して、というよりは半ばとばりが無理矢理に、サプライズを用意してくれるからだ。

普通で充分嬉しいぞと言ってみたこともあるが、あたしが満足できないのと返されてしまったので、

潤としてはもう後は単純に何をされるかというのを楽しむしかなかった。

(クリスマスはあれだったからなぁ)

まだ記憶にも新しい前回のクリスマス。

とばりとひなたは自身にリボンをかけてプレゼントになってくれた。

もちろんおいしくいただいたのは言うまでもないが、

途中、ひなたのリボンが絡まって、解くのに四苦八苦したのも今となってはいい思い出だ。

(なら、今度は自分たちにチョコレートをかけて、とか?)

潤の頭にチョコソースでデコレートされた二人の裸身が浮かぶ。

それならそれで今回もおいしくいただかないとなぁと思いながら、

早くも下半身に若干ながら反応が現れてしまい、慌てて頭を振って妄想を振り払う。

こんなとこで何考えてんだ俺はと自分に苦笑しながら、潤は自分の部屋のドアの前に立った。

(何があるにせよ、俺のためであることは違いないんだから、感謝はしないとな)

潤は深呼吸をひとつして色々と落ち着けさせると、ノブを回した。

……開かない。鍵がかかっているようだ。

(最近何かと物騒だし、用心するのは悪いことじゃないか)

ポケットから鍵を取り出し、開ける。

再びノブを回すと、今度こそドアは開いた。

しっかりと暖房を効かせているようで、ふわりと暖かな空気が流れ出て、潤の冷えた体を包んだ。

生き返る思いで中に入り、一応ドアに鍵をかけると、靴を脱ぐ。

「あ! ご主人様、お帰りなさ〜い!」

奥からひなたがパタパタとかけてきた。

「ああ、ただいま」

応じながら、潤はひなたの笑顔がいつも以上に嬉々としていることに気づく。

やはり何か用意されているようで、ひなたの笑顔はそれを早く見せたくてたまらないといった風情をかもし出している。

(どんなのが出てくるんだろうな)

思いながら、靴を脱ぐ。と、

「ご主人様! 早く早く!」

ひなたが腕を引っ張ってきた。

「おいおい……」

そんなに引っ張るなよ、と続けようとして、

「ひなた、そんなに引っ張っちゃダメよ」

いつの間にか玄関まで来ていたとばりにセリフを取られた。

だって早く見せたかったんだもんとぶつくさ言いながらもひなたが腕から離れたので、

とばりにも帰宅の挨拶を投げる。

「とばり、ただいま」

「お帰りなさい。ご主人様」

ひなたとは相反した落ち着いた返し。

しかしそれでも普段にないとばりの楽しそうな笑顔は、潤の心にある嬉しさと怖さの二つの感情を増幅させる。

さらに、

「パーティーの準備が整っておりますので、奥へどうぞ」

と妙に仰々しい手振りで促されるものだから、心拍数は加速の一途をたどる。

潤はひとつ深呼吸し、心の準備を整える。

(何があっても驚くまい。いや、ちょっとは驚いたほうがいいのか?)

などと考えながら、とばりに連れられ玄関から部屋の奥へ。

「お、お帰りなさい」

部屋の真ん中に美和が立っていた。

「ああ、ただい、ま……?」

潤はそのまま固まった。

潤の目に映る美和の様子が普段と違っていたからだ。

今日来ていた普段着、厚手のセーターと長いスカート、毛糸の靴下はそのままに、

普段はリボンで二つくくりにされている髪が下ろされていた。

が、そんなことは些細なこと。

更にわかりやすく違っている点があった。

頭頂部にないはずのものが存在していた。

それは美和が、固まる潤の視線から逃げるように視線を泳がせ、頭を動かすたびにゆらゆらと揺れる。

耳。

人間である美和が本来持っている耳は、下ろされた髪に隠されている。

だというのに、人間には持ち得ぬ形の耳がぴょこんと飛び出ていた。

色は白。ふさふさの毛に覆われ、上へと伸びた中程から二つに折れ、前に垂れている。

どう見てもウサギの耳意外には見えない。

「……とばり?」

潤は固まったまま、あまり感情を感じさせない声で静かにとばりの名を呼んだ。

「なんですか? ご主人様」

とばりは潤の顔を見上げる。

油の切れた機械のように硬い動きで、潤はどうにかとばりへと首をめぐらした。

「これは、どういうことだ?」

潤の疑問にとばりはいたずらっぽく微笑むと、美和の隣へと移動し、ひなたを手招きした。

美和を挟んで三人が並ぶと、

「今日はあたしたち、三人の耳っ子がご主人様にご奉仕しちゃいます♪」

潤の頭にはただ一言、なんじゃそりゃと浮かんだ。










潤が帰って来る前に夕飯の準備は整っていたらしく、つつがなく夕食は開始された。

潤、ひなた、とばり、美和の四人で食卓を囲むことは珍しくない。

ましてや、美和が仕事に出てきた日の昼食はほぼ間違いなく一緒に食事をしてきた。

だがしかし、今日ほど落ち着かない雰囲気での食事があっただろうかと問われれば、

いやないと反語的に返すしかない。

事実、いつもは円形のテーブルに均等に配置される四人の座席が、今日に限っては不自然に偏っていた。

潤のすぐ傍に三人の耳っ子が固まっていたのだ。

右隣に座るとばりが、人参のきんぴらを差し出してきた。

「はい、あ〜ん」

「いや、別に飯くらい自分で……」

「あ〜〜ん」

笑顔のままの無言の圧力に押され、潤は口を開いた。

中に料理が運ばれ、潤はやれやれと租借する。

「おいしい?」

「ああ、うまいよ」

実際においしいと感じたので、素直にそう答える。

「ご主人様、ボクも! あ〜ん♪」

今度はひなたが揚げ物を一切れ。

同じように口に入れてもらい、食べる。

ジャガイモの味がする。どうやらコロッケのようだ。

だがもう一味、何か違う味を感じる。少々甘味があるようだ。

「このコロッケ、何か入ってるのか?」

「人参だよ」

すごいでしょ?と、ひなたの笑顔は得意げだ。

「これはこれでいいな」

「えへへ〜、それじゃ、もっと食べて♪」

二人の微笑ましい光景を見ながら、とばりは素早く反対側へと視線を走らせた。

その先では、まだ恥ずかしそうに頬を朱に染めた美和が縮こまっている。

声を潜めてとばりは言った。

「ほら、美和、何してるのよ?」

「だ、だって……」

うつむく美和に更なる叱咤。

「今日はバレンタインなんだから、しっかりご奉仕しないとダメでしょ」

「う、うん……」

とばりの激励に、美和は恐る恐る料理を箸に取り、これ以上ないほどに時間をかけて潤の口元に運んだ。

「おにいちゃ……じゃなくて。ご主人様、あ、あ〜ん」

潤は気恥ずかしさを感じるものの、断るわけにもいかず、同じように口を開ける。

今度は野菜炒めだ。

塩コショウで程よく味付けされたキャベツ、もやし、人参の味が口の中に広がった。

ごくりと飲み込み、潤はふと思ったことを口にする。

「なんか、妙に人参が多いような気がする」

そう思って見てみれば、食卓の上には他にも、人参のゴマ和えやグラッセが置かれている。

唯一関係なさそうなのは、ででんと置かれた大きなチョコケーキくらいか。

「この前、スーパーで特売やってたからつい買いすぎちゃって」

美和が恥ずかしそうに答えた。

すかさずとばりの冗談交じりのフォローが飛ぶ。

「今日は兎耳っ子もいるんだから、ちょうどいいでしょ」

潤はそういう問題だろうかと思った。

それが表情に出ていたのか、

「そんな細かいこと気にしないの。ほら、食べて食べて」

ととばりがせっついてくる

「て、お前たちはいいのか?」

食べさせようとはしても食べようとはしない三人に、潤は疑問を放つ。

答えはとばりから。

「ご主人様へのご奉仕に専念できるように、あたしたちは先に済ませちゃったのよ」

この徹底ぶりはさすがとばりと言うべきか。

もう何を言ったところでこの状況は覆らないと悟った潤は、おとなしく三人の耳っ子のご奉仕を受け入れるのだった。










食事を終え、お茶を飲みながらのんびりとテレビを見る。

新人のお笑い芸人が「そんなの関係ねえ!」と叫びながら変な動きを繰り返している様を眺めながら、潤は自分の腹をさすった。

(ちょっと食べ過ぎた……)

三人がどんどんと料理を食べさせてくれたため、まったく歯止めが効かなかった。

料理のおいしさもさることながら、献身的に尽くそうとしてくれる気持ちが嬉しく、

気づけば、どう見てもひとり分には見えなかった食卓の上の料理がすっかり空になっていたのだ。

更に、チョコケーキにも驚かされた。

バレンタインだからチョコケーキくらいはあっても不思議ではないのだが、これもまた人参尽くしの一部だったのだ。

生地には人参が練りこんであり、上に飾られたチョコレートも人参のグラッセをチョコでコーティングしたものだった。

半ば呆れながらも潤は三人の想いを受け止めるべくこれに挑戦。

予想外においしかったことも手伝い、全部ではないが結構な分量を食してしまった。

外から見てもわかるほどに膨れた自身の腹をさすり、愛情太りってこういう風になるんだなと潤は思った。

「ご主人様、お風呂が沸きました」

風呂を入れていた美和が戻ってきた。

潤はそれに自然に答える。

「ああ、ありがとう」

美和はまだはにかみがちだが、潤はおおむね現状に慣れつつある。

妹の頭の上にウサ耳が揺れていても、そういう遊びだくらいに思えるようになって来ていた。

「じゃあみんな、先に入っていいぞ」

いつものごとく、潤は女性陣を先に風呂に行かせようとした。

やはり婦女子はきれいな湯に入らせてやりたいと思い、いつもそうしているだからだ。

しかし、今日は違った。

「いいえ、ご主人様お先にどうぞ。一番風呂のほうが気持ちいいでしょ?」

「まあ、そうかもしれないけど」

「あたしたちのことはお気になさらず、さ、どうぞどうぞ」

妙にバカ丁寧に勧めてくるとばりに、潤は不信感を募らせた。

また何かたくらんでいるのでは?

そう思うが、聞いたところではぐらかされるのが落ちだろう。

せっかくなので、ありがたく一番風呂を頂戴することにした。

「じゃあ、先に入ってくる」

「はい、どうぞごゆっくり」

潤はいつになく重い体を持ち上げて風呂へと向かった。








「ふ〜〜……」

軽く汗を流してから、潤は風呂につかった。

可愛いウェイトレスが多いことで有名になったおかげで、ただでさえ暇の少ない喫茶店。

しかもイベント時には常時満席が当たり前と言っても過言でないのだから、疲れるのは当然だ。

少し熱めの湯に肩までつかり、今日の疲れを癒す。

(そう言えば……)

三人から解放され、落ち着きを取り戻した潤はふと疑問に思い当たった。

(美和は今日、泊まってくのかな?)

いつもは仕事で遅くなった時はそのまま帰り、夕食を共にする時でも片付いたら帰宅していたのだが、今日はまだ帰っていない。

これまでにも何度か泊まっていったこともあるので問題はないが、

ちょっとした驚きに流されてしまったせいで、今日はどうするのか聞いていなかった。

(風呂から上がったら聞いてみればいいか)

潤はそう結論付けると、しっかりと体を洗うべく湯船から出ようとして……

「ん?」

洗面所から人の気配を感じて、潤は扉に目を向けた。

すりガラスの向こうに、何人分かの人影がかすかに見える。

(何やってんだ?)

気になり、動きを止めて聞き耳を立てる。

すると、こちらに聞こえないようにしているのか、わざと大きさを抑えたような美和の声が聞こえてきた。

「ほんとに、入るの?」

「今更何言ってるのよ。今日はバレンタインなんだから、大好きな人に喜んでもらわなくちゃ」

答えているのはとばりのようだ。二人の会話は続く。

「でも、恥ずかしい……」

「美和、いい? ご主人様は朴念仁なとこあるけど、あれで結構モテるんだから。見たでしょ? 今日も店に来てた女性のお客さんにチョコもらってるとこ」

潤は思い出す。

今日、確かに女性客からチョコはいただいた。

しかし簡単に礼を言ってその場を離れる程度のことだったので、さほど気にも留めていなかったのだが、

まさかそんなにはっきりと見られていたとは、みなが目まぐるしいほど忙しくしていたことを思えば、驚きは隠せない。

「だからがっちり捕まえておかないといけないの。そのために必要なことなのよ」

美和はまだ躊躇っているのか、何も答えない。

少しの間を置き、とばりは美和の耳元で何事かささやきかけたように見えた。

二人が離れると、

「うん……わかったよ」

答える美和の声に決意めいた響きを感じ、潤は焦った。

はっきりとはわからないが、どう聞いても自分にとって良くない方向に状況が動いてるようにしか思えない。

止めねば!

ざばっと勢いよく湯船を出て、扉を開け…・・・ようとして、慌ててタオルを腰に巻く。

落ちないことを確認し、改めて扉を開けようとして……

向こう側から開けられ、これでもかというほどに美和と真っ向から対面した。

お互い予想外の事態に動きを失い、立ち尽くす。

数秒の沈黙が流れ、状況を飲み込み我に返ると、美和は顔を真っ赤に染めて両腕で体を隠そうとした。

その動きで美和が全裸であることに気づき、潤は全速力で目を逸らす。

二人の様子を交互に見ながら、やはり予想外の状況に言葉をなくしていたとばりが、

むしろこれは好都合と言いたげににんまりと笑った。

「ご主人様、お背中流しに参りました」

潤は風呂場の壁を向いたまま言う。

「と、とばり、これは、どういうことだ?」

潤の質問にとばりはしれっと答える。

「どうって、ご奉仕の一環ですよ」

「いくらなんでも、これは……」

思わず『これ』に目を向けようとしてしまい、ぐっとこらえて改めて壁に視線を固定する。

その様子を楽しげに見ながら、とばりは何事もないかのようににこやかな口調で言った。

「あたしとひなたは一緒に入ったこともあるのに、何かおかしいですか?」

「美和はまずいだろ!」

潤は思わず口調を荒げる。

どうにかして一刻も早く美和をここから遠ざけたいと必死だった。

だが、残念ながら時間の経過は美和の心を後押ししてしまっていた。

「お、おに……ご主人様!」

いつも穏やかな美和にしては、珍しく勢いだけの声。

その声に驚かされ、潤は美和へと顔を向けた。

「お背中、流し、ます!」

うっすらと涙を浮かべてまで精一杯恥ずかしさに耐えながらも、その瞳は真っ直ぐに潤へと向かっている。

「美和……」

何を言ったところで引くようには思えない。

強い決意を秘めた眼差しに、とうとう潤は折れた。

ほとんど顔だけしか見ていないが、それでも妹の裸体を見ていたことに改めて気づいて視線を泳がせながらも、

「わかった。頼むよ」

と短く告げると、そそくさと風呂用の小さい椅子に腰をかける。

潤は半ばやけになり、もうどうにでもなれと心の中で叫んでいた






「う〜、ボクもご主人様の背中流したいよ〜」

「順番よ。ひなたは美和の次ね」

「は〜い」

ひなたがバシャバシャと湯と戯れる音が聞こえる。

以前はあまり風呂に入りたがらなかったが、

いつぞやとばりが「きれいにしておかないとご主人様に嫌われちゃうわよ」と脅すように言ってから、

ひなたも抵抗なく風呂に入るようになっていた。

たまには三人で入ることもある。

ましてや、夜の情事では互いに痴態を見せ合っているようなものだから、今更風呂ごときではどうということもない。四人目さえいなければ。

背中をこする感触は、力任せなひなたのものでもなければ、緩急巧みなとばりのものでもない。

少々力不足が感じられるものの、それでも懸命にきれいにしようという意思を伝える美和のものだ。

どうしてこんなことにと思ったところですでに遅い。

抗う術も止める手段もなく、文字通りただ流されるだけだった。

「ご主人様、気持ちいいですか?」

主の背中を流す兎耳っ子が聞いてきた。

ちなみに今日の美和はあくまでも兎耳っ子であるので、風呂の中でもウサギの付け耳は外していない。

「ああ、気持ちいいぞ」

本当のことではあるので、潤はそう返す。

(そういえば……)

ふと、潤は昔を思い出した。

(前に、小さい頃に一緒に風呂入ってた時も、こんな感じだったな)

小学校に上がるか上がらないかという頃、二人はよく一緒に風呂に入っていた。

小学校入学を機に、もうお風呂くらいひとりで入れると母に言い張る潤に、

「じゃあわたしもおにいちゃんといっしょにはいるー」と美和がついて来たのだった。

母と三人で入ることが常だった風呂場が、二人だけの空間になった。

それでもすることは変わらない。

お互いの背中を洗いっこしたり、水鉄砲で遊んだり。

たまにやりすぎて美和を泣かせてしまうこともあったが、

それでも美和は一緒に入ることを躊躇わなかった。

いつからだったか、うろ覚えの記憶を探ると、おそらくは小学校三年くらいだったか。

周囲もひとりで風呂に入る子が増え、自然と美和もひとりで入るようになっていた。

潤も特に何も気にせず、ひとりでの入浴が当たり前となり、

以降、二人で入った記憶は全くない。

学年が上がるに釣れお互い友達も増え、家族であっても異性でもある二人の共有する時間はどんどん減っていき、

トリマーの勉強をするために潤が家を出てからは、顔を見るどころか声を聞く機会すら大幅に減少した。

(もしかして、寂しかったのかな?)

今まで付き合ってきた友達の中には、同じように妹がいるやつもいた。

かわいくねえだのうるさいだけだの言っていて、妹のほうもさほど兄にどうこうという風でもなく、

潤もまた、それが普通の兄妹であり、自分たちもそうだと思っていた。

だが、ならば何故自分の妹、美和はわざわざ部屋を訪ね、家事をこなし、そして今、恥ずかしがりながらも自分に尽くそうとしているのか。

美和くらいの歳の女の子ならば、似たようなことは恋人にでもしているほうが普通のような気がする。

潤は見知らぬ誰かと仲良くしている美和を思い浮かべ、なんとなくむかっ腹が立ち、想像を消した。

そして思い至る。

自分は美和をあまり気にしていないようでいて、でも心のどこかで気にかけている。

なら美和が兄である自分を気にかけるのは普通であるし、

まだ恋人のいない美和が自分を頼り、甘えようとしているのも自然ではないのか。

そこまで考えが至った時、潤の心にかかった靄が一気に晴れた。

美和は純粋な想いで自分に接している。

今日に限ってはとばりの甘言にそそのかされている節がなくもないが、

それでも自分に対して一生懸命なのは変わりない。

ならば自分も精一杯応えねばならないのではないか。

いきなりウサギの耳をつけていて驚き、いきなり風呂に闖入されて戸惑ってしまったが、

そんなことではいけない、妹の純粋な想いに、兄が純粋な想いで応えなくてどうする。

潤の心に決意が宿る。

もう美和を不純な目で見たりはしない。兄として美和を大切にしようと。

ちょうどその時、背中の泡が湯で流された。

「終わりました」

控えめな声が聞こえる。

「ありがとう」

潤は礼を言って、極自然に振り返った。

先ほどまでのあえて異性の肌を見まいとするわざとらしい振る舞いはない。

目を逸らさずに、自分の背中を洗ってくれた妹の顔を見る。

今はバスタオルで体は隠しているが、風呂の熱気のせいにするには少々大げさに頬は赤くなっている。

まだ恥じらいを隠し切れない美和に、潤は言った。

「じゃあ次は交代だな」

「え?」

美和は何のことだかすぐにはわからないようで、きょとんとしている。

潤は続けた。

「今度は俺が美和の背中を流す番だ」

「で、でも……」

美和は戸惑い、視線を湯船の中のとばりへと。

今日はご主人様にご奉仕する日なのに、どうすればいいの?

という意味を込めて見るが、とばりは何も答えない。

「ほら、これに座れ」

潤が風呂用の椅子を差し出した。

「う、うん」

戸惑いながらも美和は応じ、おずおずと椅子に座ると、バスタオルを外した。

潤はタオルにボディソープを垂らし、泡立てると、美和の白い柔肌にそっと当ててこすりだす。

在りし日の兄妹の姿がそこにあった。








風呂から上がり、四人は冷めないうちにベッドへと入る。

とばりが来てからみんなで寝られるようにと大き目のベッドに買い換えてあるので、四人でもどうにか寝ることは可能だ。

「それじゃ、電気消しますね」

とばりが枕もとのスタンドライトを消した。

静かな部屋に闇が満ちていく。

潤は目をつむらず、ぼんやりと天井を眺めていた。

程なくして、ひなたと美和の寝息が聞こえ始める。

ひなたは元々子供のように寝つきがいい上に、今日の忙しさによる疲れも味方している。

美和もまた、ひなた同様に仕事の最中はフロアを行きかい、帰ってきてからは兎耳っ子として気を張っていたのだから、精神的な疲労は蓄積していたのだろう。

潤は仲良く並んで眠る二人の寝顔を見た。

とばりのスパルタ教育の甲斐もあって、ひなたの寝相の悪さは既に克服されている。これなら朝までぐっすりだろう。

潤は再び天井を見上げた。

そのまま、二人を起こさないように小さく声を出す。

「とばり、起きてるか?」

二人とは潤を挟んで反対側、静かに目を閉じていたとばりは潤の声に目を開けた。

「何? ご主人様」

潤は首だけとばりへとめぐらせた。

「今日はありがとな。おかげで大切なことに気づけた気がする」

「そう。なら良かった」

暗闇に慣れつつある視界の中、とばりはかすかに笑った。

潤は笑みを返す。が、とばりはすぐに笑みを消し、うつむくように視線を逸らすと、しばし間を置いて、珍しく躊躇いがちに聞いてきた。

「ねえ、ご主人様、気づいてた?」

急な問いに、潤の頭は混乱する。

気づいていたかと聞かれても、何に対してのことなのかすらわからない。

それを素直にあらわす。

「何がだ?」

「美和のことなんだけど」

とばりはそこで一度言葉を区切った。

続きを待つ潤の様子に、とばりは「やっぱり」とつぶやき、

「気づいてなかったみたいね」

小さなため息混じりに言った。

「いったいなんなんだ? さっぱりわからないぞ」

眉根を寄せる潤に、とばりはやれやれと言いたげな様子で説明を始める。

「たまに、すっごくうらやましそうに見てたのよ。ご主人様にじゃれるひなたとあたしを」

とばりはその時のことを思い出しているのか、遠い目をしている。

「言葉に出さなくてもしっかり顔に出てるの。いいなぁ、わたしもお兄ちゃんに甘えたいなぁって」

潤はどう答えていいものかわからず、黙って聞いていた。

「あたしが気づくとすぐに顔を逸らしちゃうし、本人に聞いてもそんなことないって否定はするんだけど、顔を真っ赤にして慌てながらじゃ、否定にならないわよね」

とばりはその時の様子を思い出し、ふふっと笑った。

「だから、たまには堂々と、妹として一歩引いた位置からじゃなくて、もっと親密に触れ合ってくれたらって思ったんだけど」

じっと潤の顔を見る、心までを見透かそうとしてるような真っ直ぐな瞳で。

「うまくいったのかしら?」

潤はその視線を受け、しっかりとうなずく。

「ああ、充分だ」

「それは良かったわ」

とばりはにっこりと笑い、

「実は御堂の店の倉庫で妙な耳っ子変身セットを見つけたから、美和に着けさせてみたかったっていう理由もあったりするんだけど、結果オーライかしら」

と冗談交じりに付け加える。

おいおいと、潤は苦笑いを浮かべた。

それを見てとばりはもう一度笑うと、表情を真剣なものに戻す。

「ねえ、ご主人様、覚えてる?」

「ん?」

「前に言ったわよね。耳っ子はずっとご主人様のことを想い続ける、下手をしたら一生、ずっとって」

「ああ、覚えてる。忘れるわけないだろ」

今は亡き最愛の恋人、さちの面影をひなたに重ねてしまい、苦悩した日々を思い出す。

今でも忘れられない苦い思い出。

その中で、ひなたをひなたとして愛するきっかけをくれたのが、とばりのその言葉だった。

しっかりと心に刻まれている。忘れられようはずもないほどに。

潤の真摯な眼差しに嘘はないことを悟り、とばりは続けた。

「でもね、それは耳っ子だけじゃないかもしれない。人間だってそう。種族の違いによる精神構造の差はあるから全部が全部じゃないだろうけど、人間だって、ずっとひとりの人を想い続ける子もいるのよ」

そう言って、潤の体の向こうに視線を送る。

「多分、美和も」

少し寂しそうな表情のまま、とばりは更に続けた。

「今はまだ、ご主人様以外に近しい男がいないからってだけかもしれないけど、でも、もしかしたら……」

もしかしたら、兄妹というくくりではすまされない愛情を持っているかもしれない。

だがそれを言っていいのは、そのことに気づき、受け入れ、貫くことを決めた場合の本人のみ。

とばりは、半ば確信しつつある考えを押し込め、別の言葉に変えた。

「だから、兄妹のままでもいいから、もっと美和を甘えさせてあげて欲しいの」

「それは構わないけど……でもいいのか?」

美和とは、少なくとも兄妹としての愛情で繋がっているのはわかる。

だが恋人としての愛情で繋がっているのはとばりとひなただ。

ましてや、とばりはどちらかというと独占欲が強いほう。

美和を甘えさせるということは、二人が甘える時間を削ることにもなりかねないのだから、潤の疑問も当然だ。

だが、潤の不安をよそに、とばりは平然と答えた。

「もちろんよ。美和だってひなたと同じようにあたしの大切な友達だし、家族みたいなものだもの。だから美和には悲しかったり寂しかったりしてほしくないの」

普段はあまり表に出ない、とばりの優しい一面。

だからこそその言葉に含まれた重みは計り知れない。

「普段はしっかり者の妹だけど、でも、無理をしてるとこもあるから、わかってあげて」

とばりの眼差しを受け、潤はしっかりとうなずく。

「ああ、朴念仁なりに頑張ってみるよ」

「ふふ、よろしくね」

潤の冗談にとばりは小さく笑った。

そして、ふと思い出したように、

「そういえば、どこだかの遊園地に行きたいみたいなこと、ちょっと言ってたわね」

この間テレビのコマーシャルでやっていた、最近出来たという巨大テーマパークを思い出す。

「具体的な場所はさりげなく聞いておいてあげるから、今度のお休みに連れて行ってあげたら?」

「そうするか」

潤はさほど深く考えずにうなずく。が、

「あたしがちゃんとひなたの面倒をみながら留守番しておくから」

続く言葉に潤は驚いた。

「え? 留守番って……」

どこかに出かける時はたいていみんな一緒であり、今回もそうだと思っていたのだが、

「デートなんだから、当たり前でしょ?」

とばりの思惑は潤の想像の上をいっていた。

「デートって……」

思わず絶句する潤に、とばりは駄目押しの一言。

「しっかり甘えさせてあげなさい。お・に・い・ちゃん♪」

とばりの満面の笑顔。それは潤に逃げ場を許さない。

潤はやれやれとため息混じりに承諾する。

「……わかったよ」

とばりは「よろしい」と満足げに言ってから楽しそうに笑った。

「そうそう、わかってると思うけど、一応言っておくわ」

今度はなんだと少々疲労の入り混じった目をとばりに向ける。

とばりはその目をキッと真っ直ぐに見据えてきた。

笑みを消し、眉尻を上げ、まるで怒ったかのような表情を作り、潤にずいっと体を近づける。

「デートを許すのは、あくまでも相手が美和だからよ。他の女の場合はれっきとした浮気。絶対許さないからね」

脅迫のような、いや、まさしく脅しそのものである低い声に、潤は圧倒され、

「わかってるって」

苦笑いを返した。

「それならいいわ」

とばりは満足そうに笑い、体を離す。

「それじゃ、明日も仕事だし、もう寝ましょうか」

ちらりと枕元を見れば、目覚まし時計が結構な時間を刻んでいた。

「ああ、おやすみ、とばり」

「おやすみなさい、ご主人様」

二人は目を閉じた。

(俺は幸せ者だな)

徐々に眠りへと移行していく意識の中、潤は思った。

(俺のことを真剣に想ってくれる人たちに囲まれているんだから)

ひなた、とばり、美和の姿が浮かぶ。

誰もが幸せそうな笑顔であり、潤もふと、笑みを浮かべた。

「俺も頑張って、恩返ししないと、な……」

小さなつぶやきと共に、潤は夢へといざなわれる。

四人の寝息だけが聞こえる静かな部屋。

カーテンの隙間から、かすかに月の光が差し込む静かな夜。

四人は幸せな夢へと浸っていった。










 Fin










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<あとがき>

ど〜もご機嫌ようです。
『Sweet×3 Valentine』お楽しみいただけましたでしょうか?

ではまず、自分でツッコミコーナー♪
その1:タイトルと内容があんまり一致してないような気がします。
もちろんです!
だってもともとまったく別の内容だったのですから!
いや〜、でもやっぱり18禁は無理だったんですよ。
ラブラブで甘々でベタベタ(いろんな意味で)な話は無理だったんです。
書いてて楽しくなかったんです。
でもタイトル違うの考えるの面倒だったんです。(ここ重要w)
だから仕方ないよね!

その2:途中(入浴シーン後半)あたりからテンションが違いすぎませんか?
それはですね。
18禁が無理だと悟ってから、じゃあそういう直接的なシーンは削るけどラブラブで甘々な雰囲気だけは残そうと思ったのですよ。
ですが、バイトしながら展開を考えているうちに、何だか潤君がどんどんいい兄貴に……
あれぇ? おかしいな……と思いながらも、これはこれでいいやと。
ちなみに、ベッドに入ってからのとばりとの会話はデフォですので、つながりとしては問題ないよね? ね!?

その3:別にバレンタインじゃなくてもいい話のような……
だってこの話は、美和タン★にウサ耳つけて潤君に甘えさせるっていう、いつぞやふと思いついたプロットを流用しただけですもん!

その4:人参ケーキは本当においしいですか?
食べたことないです♪
でもネットで人参料理を検索した際に見つけたので、多分おいしいと感じる人もいるはずです。
ただ、そのケーキはチョコケーキだったかは定かではありません。
ましてや、人参のグラッセにチョココーティングはやってません。
作ってみたい方は、そのあたりは自己責任でお願いします。
なお、スポンジに人参の千切りを混ぜ込んだりしても、食感を楽しめたりするそうですよ。

自分でこれだけ出せるんだから、他の人が読んだらどれだけツッコめるのかと……
ま、今更ですね♪

以上、今年も絶対もらえませ〜ん♪なMでした♪
でわでわ〜♪

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